ビラの文面(2020年2月～６月配布)

１２月市議会で所有者のいない猫について質問があった。２月２２日は‘にゃん、にゃん、にゃん’で猫の日。ある猫のつぶやきを聞いてみよう。
オイラは臭い、汚いと人間様から嫌われる野良猫。街角には「猫にエサを与える前に考えてみよう」と無責任なエサやりを批判するポスターが。でもエサが無ければ餓死しちゃうニャー。捕まれば不妊手術を受ける。無責任なエサやりよりも、猫を捨てる無責任な飼い主をもっと取り締まらないと、不幸な猫は減らないニャー。オイラたち野良猫はモノじゃなくて、生き物なんだ。ネコを飼う前によ～く考えてほしいニャー。

Planet of Cats

2月22日、街中を歩いていると、後から「今日は何の日か知ってるかニャー」と声がした。振り返ると黒猫がじっと私を見つめている。人の姿はない。はて、空耳か。すると「2月22日は　にゃんにゃんにゃん、で、猫の日だニャー」。猫がしゃべった! きっと夢を見ているんだ。「おいらは人間様から、汚い、臭い、不潔だ、と嫌われ者の野良猫だ。名前はスパルタカス。」　スパルタカスといえば、ローマ帝国に反乱を起こした奴隷の指導者じゃないか。「おいらは捕獲されて秘密の実験施設に連れていかれ、認知症薬開発のモルモットにされたんだ。それでIQが200になり、人間様の言葉が話せるってわけだ。その施設から脱出したんだ。おいらのつぶやきを聞いてほしいんだニャー」　これはまるでPlanet of Cats(猫の惑星)だ。洋画の見過ぎでこんな夢を見ているのか。

野良猫を作り出したのは誰?

「おいらは12月市議会で三重松議員(公明党)が“地域猫について”質問するのを聞いた。“地域猫”とか、“所有者のいない猫”という名前で呼んでたけど、上品な名前を付けてもらっても野良猫の厳しい状況はちっとも変わらないニャー。」
　市議会を傍聴するとは、スパルタカスはすごい猫だ。

「街角には“猫にエサを与える前に考えてみよう”と書かれたポスターが貼ってある。エサを与えれば野良猫が集まるようになり不衛生で近所迷惑だ、と無責任なエサやりを批判している。だけどこれは人間様の都合だけで言っている。エサがなければおいらたちは空腹に苦しみ餓死しちゃうんだニャー。エサやりを非難したい気持ちはわかるけど、おいらたちを捨てる人がいなければ、野良猫問題は起こらない。自分勝手な都合で猫を捨てる人をもっと批判すべきだニャー。」
スパルタカスの言っていることは論理的で筋が通っている。驚きだ。

猫はモノではなく生き物

　「市は答弁で、2019年2月～5月に22匹、9月～10月に20匹を回収(捕獲)して
不妊手術を行ったという。おいらたち捨てられた猫は被害者だ。それなのになぜ目の敵にされてひどい目にあうのか。ハンセン病の患者さんが不妊手術を強制されたことは差別だと非難を浴びた。人間様になら許されない行為でも、猫になら許されるのかニャー? 猫だって痛みや苦しみを感じる。おいらたちはモノじゃなくて生き物なんだ。エサをやる人がいなくなれば、野良猫は長く生きられない。そもそも野良猫は飼い猫と違って寿命は3～5年だと言われ、大半は子猫のうちに死んでしまう。そのうえ不妊手術まで行う必要があるのかニャー。」

飼う前に考えてほしい

　「これから猫を飼いたいと思っている人間様においらからお願いがあるんだニャー。飼い猫の寿命は約15年と長い。年を取れば介護が必要になる。愛情をこめて最期まで看取ってほしい。もし子猫が生まれたら大事に育ててほしい。やむを得ない事情で飼い続けることができなくなった時は、新しい飼い主を探してほしい。おいらの心からのお願いだ。」
　スパルタカスの訴えに胸が熱くなっていると、突然、後ろから「ずっと立ち止まって、何してはんのん?」と声をかけられた。私は振り返り「いや、何でもないです」と答え、再び元の方向を向くとスパルタカスの姿は消えていた。これは現実なのか?　立ち止まったまま夢を見ていたのか?