ビラの文面
9月市議会で「外国人が優遇されている」という根拠のないデマについて質問が行われた。市は「国民健康保険制度は国籍の区別なく、すべての加入者に公平に適用される。保険料の算定方法や医療費の自己負担割合は日本人と同様です」「生活保護で外国人が優遇されることはない」と答弁し、外国人優遇をきっぱりと否定した。
市は「多様性を認めあう、多文化共生の地域社会をめざす」等の視点で、「人権尊重のまち・松原市」を目指している。外国人へのデマ攻撃に対して、市は「事実ではない」ことを積極的に市民に知らせるべきだ。
外国人は優遇されていない
2025年9月市議会で池田議員(日本共産党)が、外国人が優遇されているという根拠のないデマについて質問を行った。
市は「本市在住の外国人は、住民登録することで公的な医療保険にかに有することが義務付けられる。国民健康保険制度は国籍の区別なく、すべての加入者に公平に適用される。保険料の算定方法や医療費の自己負担割合は日本人と同様である」と答弁した。また「生活保護法により、日本国民が生活保護の対象となっている。1954年の厚生省通知により、生活に困窮する外国人は法に準ずる取り扱いを行うこととなっている。外国人が優遇されることはない」と答弁した。
国民健康保険の加入者は無職の高齢者や非正規雇用の労働者が多く、財政は悪化している。加入者の収入は少ないが、保険料は高額である。外国人の加入により保険料収入が増える。つまり外国人が財政の悪化を緩和しているのである。
外国人が生活保護の対象とされているのはなぜか? 日本は戦前に台湾や朝鮮半島を植民地にし、これらの地域の人々は1952年のサンフランシスコ講和条約発効まで日本国籍を有していた。54年の厚生省通知はこのような歴史的経緯を踏まえ、在日コリアン・中国人については、「条約発効後も日本に在留する者多く、生活困窮者の人口に対する割合も著しく高い」と、保護の必要性を認めていた。
外国籍の場合、生活保護の対象者は限定されている。すなわち、永住者や日本人の配偶者、日系3世ら定住者、在日コリアンなどの特別永住者、難民認定を受けた人に限られる。留学や技能実習、特定技能といった就労制限のある人は対象外である。
国籍別に生活保護世帯を算出すると、2020年の国勢調査からは、日本籍は計5435万世帯のうち157万世帯（2.89%）が、外国籍は136万世帯のうち4.6万世帯（3.36%）が受給していたことがわかる。韓国籍・朝鮮籍の受給率は14.43%と高くなっているが、これは、日本では長い間、外国籍の人が制度的に国民年金に加入することができず、低年金の高齢者が多いからである。
外国人は増えているが 治安は悪化していない
2025年7月の参院選で某政党の党首と候補者が「外国人の増加で治安が悪化している」という演説を繰り返したが、これは本当なのか? 報道機関や研究者等が法務省や警察庁の公表資料を基にして検証した結果は、そのすべてが「外国人増加は治安悪化につながっていない」「日本人と外国人の犯罪率には大差がない」としている。上記の演説内容は根拠のないデマである。
日本における外国人の人口は2004年で短期滞在者も含めて約197万人であったが、19年後の2023年は約377万人と2倍近くに増えている。法務省の「犯罪白書」によると、刑法犯で検挙された外国人は、2004年の14,766人から、2023年は9,726人と約34％減っている。人口当たり犯罪率は04年の0.74%から23年の0.26%へと約3分の1に減っていることになる。国内の刑法犯の検挙人数はピークの2004年が389,027人で、その後、減り続け、2023年は183,269人である。外国人は急速に増加しているが、犯罪件数は減っていて、治安は悪化していないのである。
地域の多文化共生
議員から「地域の多文化共生」について質問が行われた。
「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」第5条の規定に基づき、松原市は2007年に「松原市人権施策行動計画」を策定した。この計画は、あらゆる人権侵害をなくすための責務を明らかにし、人権意識の高揚を図りながら、人権尊重のまちづくりの実現に寄与することを目的としている。そして、昨今の社会の実情に沿った施策を進めていくために、2025年度から5年間を計画期間として計画を改定した。人権施策の基本的な5つの視点として
1. お互いの違いを認め合い、尊重しあう。
2. 人権・命・心を大切にし、安心で安全なまちづくりを行う。
3. 多様性を認めあう、多文化共生の地域社会をめざす。
4. 人権擁護に努め、個人情報を適切に取り扱う。
5. 人権に関する法律や条約等を理解し、正しく情報を発信する。
ことを掲げている。
3の多文化共生は、日本人と在日外国人が地域で共に生きることを意味している。多くの地方自治体は、松原市と同様に多文化共生を目標としている。
5には「正しく情報を発信する」という視点が書かれている。インターネットなどで根拠のない外国人への批判が流布されている現状に対して、松原市は積極的に「根拠がない」「デマである」ことを市民に知らせるべきだ。
この記事を読まれた方は 下記の記事も読まれています。